一般社団法人設立趣意書

　大学にいて楽しいですか？楽しんで研究や教育に携わっていますか？

　変貌著しい現代社会において、大学を取り巻く環境の変化もまた激しさを増しております。本来社会情勢やイデオロギーとは、独立して存在すべき大学が、国の状況や時の政府の政策の影響を、まともに受けている最近の姿は見るに忍びません。大学の社会における役割が変わったと言われて久しいですが、現実には、大学の役割がその時々の都合によって、好き勝手に論じられているように感じられます。

　大学は、教員・職員・学生の集合体です。これらの人々が自由に集い、研究のこと、教育のこと、地域のこと等を気軽に、ときには熱くときには愚痴を混ぜて、自由に語り合えるような交流の場が、身近に存在することは、今非常に重要なことであると思います。そして、そこで得られた成果を踏まえて、できることから少しでも、実際に行動に移すように努力したいものだと考えます。これらの思いから、2013年7月1日、有志により「ｅ教育サロン」を立ち上げました。教育に携わるすべての人が、崇高な意識で、誇りをもって、自信をもって従事することのできるような世界を目指して、思いを同じくする仲間の発掘やコミュニティの形成を試みてきました。

　共同研究を通じて金沢大学内の１室を使用し、平日は交流の場として毎日利用できるようにしました。これまでに100名を超える方々に訪問していただきました。一緒に様々な企画を考え試行錯誤してきた結果、２年間で以下の実績を重ねることができました。

　これらの実績の中で、私たちの試みが、意義あるものであり、期待されているものであり、且つ現時点において不可欠なものであると確信しました。そこで、この試みを今後も長く続けるために、また、より多くの方々に参加していただくために、ｅ教育サロンを一般社団法人として再出発することにいたしました。

　一般社団法人ｅ教育サロンは、＜教育関係者の語らいの場の提供＞というこれまでの試みを一層充実したものとし、さらには積極的に世に訴え行動していきたいと考えています。この原動力は、義務感とか、責任感とか、不安感とかいったものではないと思います。まして営利のためでもありません。それは人間としての、好奇心や、探究心、向上心なのだと思います。これこそまさに大学本来の意義そのものであり、大学教育の目的そのものであると考えられます。

　ｅ教育サロンを通じて、多くの人が、こうした試みに参加し楽しんでいただけるようになれば、教育に携わる人々にとって、ひいては私たちの社会の未来にとって、大いに意義あるものになると考えております。

　2015年8月23日